
「うちのホームページにも、AI のチャットボットを付けたほうがいいですか?」
生成 AI が身近になり、こうしたご相談が増えています。夜間や休日でも質問に答えられ、問い合わせの対応を減らせるのは魅力です。
一方で、チャットボットが間違った案内をして、会社がその責任を問われた例もあります。「とりあえず AI を入れる」と、かえってお客様の信頼を損ねることもあります。
この記事では、
- チャットボットの 3 つの種類と、それぞれに向いている会社
- 費用の考え方
- 導入で起きやすい失敗
- 失敗しないために、導入の前に決めておく 6 つのポイント
を、自社のホームページでチャットボット(右下の「チャットで質問」)を運用している当社の経験も交えてまとめます。
まず結論: 「何を答えさせるか」を先に決めれば、小さな会社でも役に立つ
- チャットボットには、決めた答えを返す FAQ 型と、自社の資料をもとに AI が文章を作る生成 AI 型、人が答える有人チャットがあります
- 料金・営業時間・対応エリアのように間違えてはいけない情報は、FAQ 型か、生成 AI 型でも「答えてよい範囲」をしっかり決めて使います
- AI の答えは会社の答えとして受け取られます。誤回答の責任は会社にあると考えて、答えられない質問は人(お問い合わせフォーム)に引き継ぐ設計にします
- 置いて終わりではなく、どんな質問が来ているかを見て、答えを直していく運用が大切です

チャットボットの 3 つの種類
FAQ 型(シナリオ型) | 生成 AI 型 | 有人チャット | |
|---|---|---|---|
仕組み | 質問の言葉やボタンの選択に合わせて、あらかじめ用意した答えを返す | 自社のホームページや資料をもとに、AI がその場で答えの文章を作る | 担当者がチャットで答える(AI が下書きを手伝う形も) |
得意なこと | 料金・営業時間・手続きなど、答えが決まっている質問 | 言い方がばらばらな質問、資料の多い商品・サービスの説明 | 個別の相談、見積もり、込み入った質問 |
苦手なこと | 用意していない質問には答えられない | もっともらしい間違いを言うことがある。答えの管理が難しい | 担当者がいない時間は答えられない |
費用の考え方 | 初期の作り込み+小さな月額 | 初期の構築+ AI の利用料(使った量に応じて) | 人件費+ツールの月額 |
向いている会社 | よくある質問が決まっている店舗・中小企業 | 商品点数・資料が多い会社、社内の問い合わせ対応 | 高額な商品・BtoB の相談が多い会社 |
最近は、FAQ 型で決まった質問に答え、それ以外は生成 AI が答える、あるいはAI が答えられないときは担当者やフォームにつなぐといった、組み合わせの形も増えています。
「生成 AI 型」は自社の情報をもとに答えさせる
ChatGPT のような AI をそのまま置くと、インターネット上の一般的な知識や推測で答えてしまいます。会社のホームページで使う場合は、自社のホームページ・料金表・よくある質問・マニュアルなどを AI に参照させ、その内容をもとに答えさせるのが一般的です。それでも、資料にないことを推測で答えてしまうことはあるため、後で説明する対策が必要です。
費用の考え方
チャットボットの費用は、種類と作り方によって大きく変わります。比べるときは、次の 3 つに分けて考えると分かりやすくなります。
- 初期費用: 質問と答えの整理、AI に参照させる資料の準備、ホームページへの組み込み、デザインの調整
- 月額費用: チャットボットのサービスの利用料、生成 AI の利用料(質問の数や文章の長さに応じて増えることが多い)、サーバー代
- 運用の手間: 質問の記録を見て答えを直す、料金や営業時間が変わったときに更新する。ここが一番見落とされがちです
既製のチャットボットのサービスを使うか、自社のホームページに合わせて作るかでも変わります。「月額いくら」だけで比べず、誰が、どのくらいの頻度で答えを直すのかまで含めて考えましょう。当社では、小さな会社でも月数万円の利用料で始められる範囲からご提案しています。
「よくある質問の数」「答えさせたい範囲」を書いていただければ、合う種類と費用の目安をお伝えします(無料)
導入で起きやすい失敗
1. AI が間違った案内をする
よく知られた例が、カナダの航空会社エア・カナダの件です。同社のウェブサイトのチャットボットが、忌引き運賃の払い戻しについて実際の規定と違う案内をし、それを信じて航空券を買った利用者が差額の返金を求めました。
2024年2月、カナダ・ブリティッシュコロンビア州の民事解決審判所は、「チャットボットはウェブサイトの一部であり、その情報にも会社が責任を持つ」として、会社に差額などの支払い(約 812 カナダドル)を命じました。会社側は「チャットボットは別の存在で、会社は責任を負わない」と主張しましたが、認められませんでした。
金額は小さくても、「AI の答えは会社の答え」と受け止められることを示した例です。
2. 古い情報のまま答え続ける
料金や営業時間を変えたのに、チャットボットの答え(や AI が参照している資料)を直し忘れる、というのもよくある失敗です。ホームページの更新と、チャットボットの答えの更新を、同じ手順の中に入れておく必要があります。
3. 答えられない質問で行き止まりになる
「分かりません」で終わってしまうと、お客様はそのまま離れてしまいます。答えられないときは、お問い合わせフォームや電話・メールの窓口に案内し、できれば質問の内容を引き継げるようにします。
4. お客様が個人情報を書き込む
チャット欄に、名前・電話番号・病状・トラブルの詳細などを書き込まれることがあります。入力された内容がどこに保存され、AI の学習に使われるかどうかを確認し、法人向けのプランや API(入力が学習に使われない設定)を選びます。チャット欄に「個人情報は入力しないでください」と書いておくことも大切です。
5. 置いたまま、誰も見ていない
どんな質問が来て、どれに答えられなかったのかを見ないと、チャットボットは良くなりません。月に一度でも質問の記録を見て、答えを足す・直す時間を決めておきましょう。

失敗しないために、導入の前に決めておく 6 つのポイント
- 目的: 問い合わせ対応を減らしたいのか、問い合わせを増やしたいのか。目的によって、答え方や案内先が変わります
- 答えてよい範囲: 料金・納期・契約・医療や法律に関わることなど、AI に自由に答えさせない話題を決めます
- 答えの元になる情報: 料金表・よくある質問・会社情報など、どの情報をもとに答えるかと、更新したときに誰が直すかを決めます
- 人への引き継ぎ: 答えられないとき、相談したいときに、フォーム・電話・LINE などにつなぐ流れを作ります
- 個人情報とデータの扱い: 入力内容の保存先と期間、AI の学習に使われない設定かどうかを確認し、プライバシーポリシーにも反映します
- 見直しの頻度と担当: 質問の記録を誰が、どのくらいの頻度で見て、答えを直すのかを決めます
当社のホームページでの例
当社のサイトの右下にある「チャットで質問」は、FAQ 型のチャットボットです。
- 料金・営業時間・対応エリアなど間違えてはいけない情報が中心なので、答えは人が書いて管理しています。料金や営業時間を変えたときは、チャットボットの答えも同時に直す決まりにしています
- 答えには、詳しいサービスのページや解説記事へのリンクを付け、相談したい人はご相談内容が入った状態のお問い合わせフォームに進めるようにしています
- お客様から来た質問は記録し、答えられなかった質問には答えを足していきます
生成 AI 型にしなかったのは、当社への質問の多くが「料金」「納期」「どこまで対応してくれるか」といった、正確さが一番大切な質問だったからです。会社によって、合う形は違います。
よくある質問
小さな会社でも、チャットボットを入れる意味はありますか?
あります。電話に出られない時間が多い会社や、同じ質問が何度も来る会社ほど効果があります。まずはよくある質問 20〜30 問ほどを FAQ 型で用意し、来た質問を見ながら増やしていく始め方がおすすめです。
生成 AI のチャットボットは、間違えないようにできますか?
間違いを完全になくすことは難しいです。答えの元にする資料を絞る、答えてよい話題を決める、自信のないときは担当者に引き継ぐ、といった設計で、間違いが起きにくく、起きても影響が小さくなるようにします。
ChatGPT をそのままホームページに置いてもいいですか?
おすすめしません。自社の料金やサービスを知らないまま、一般的な知識や推測で答えてしまいます。自社の情報をもとに答える仕組みにし、答えてよい範囲を決めて使いましょう。
LINE 公式アカウントでも使えますか?
使えます。ホームページと LINE で同じ答えを使えるようにしておくと、更新の手間が増えません。
費用はどのくらいかかりますか?
種類と、答えさせたい範囲・資料の量によって変わるため、無料でお見積もりします。小さく試して効果を確かめてから広げる進め方をおすすめしています。
まとめ
- チャットボットには、FAQ 型・生成 AI 型・有人チャットがあり、組み合わせて使う形も増えています
- AI の答えは会社の答えとして受け止められます。誤回答で会社が支払いを命じられた例もあります
- 費用は初期費用・月額費用・運用の手間の 3 つで考え、誰が答えを直すのかまで決めておきましょう
- 導入の前に、目的・答えてよい範囲・答えの元の情報・人への引き継ぎ・個人情報の扱い・見直しの担当の 6 つを決めておくと、失敗が減ります
「自社にチャットボットが必要か分からない」「今のよくある質問をチャットボットにしたい」という方は、お気軽にご相談ください。
フォームは 24 時間受付。ご相談内容は入力済みなので、お名前とご連絡先を入れるだけで送れます
※ ChatGPT は OpenAI の商標です。
出典
- Civil Resolution Tribunal of British Columbia「Moffatt v. Air Canada, 2024 BCCRT 149」(2024年2月14日)

